同一部位における2度目の後遺障害の認定
1 認められないのが原則
過去の交通事故で自賠責保険から後遺障害認定をされたけれども、新たに起きた事故で同一部位を負傷することは少なくないです。
こうした場合、自賠責保険は、原則として、過去の交通事故で後遺障害として認定された部位について、新たに後遺障害を認定しません。
ただし、例外的に後遺障害が認定される場合があります。以下では、例外的に認定される場合について、ご説明します。
2 加重障害の場合
新たな事故によって、前回の後遺障害よりも障害が重くなった場合には、新たな障害に応じて後遺障害が認定されます。
これを加重障害といいます。
例えば、前回の事故で腰部に14級9号が認定されたけれども、新たな事故で腰部に12級13号が認定されるような場合です。
このような認定がされた場合、自賠責保険からは、12級の保険金224万円から14級の保険金75万円を差し引いた、149万円が支払われます。
3 症状が異なる場合
同一部位を負傷しても、前回と今回とで症状が異なる場合には、後遺障害が認定される可能性があります。
例えば、前回の事故で首から右上肢の痺れを理由に14級9号が認定されたけれども、新たな事故で首から左上肢に痺れが残った場合、首から左上肢の痺れについて14級9号が認定される可能性があります。
一般的に、首から両上肢の痺れは、いずれも首を負傷したことが原因とされていますが、別々に後遺障害が認定されます。
4 裁判で認められる場合
裁判例の中には、過去の事故と同一部位について、後遺障害を認定したものもあります。
ただ、後遺障害は永続的に症状が続くことを前提に認定されるので、新たな後遺障害が生じたとの立証はかなり難しいです。